木の看板が出来上がるまで
木の看板物語
200年かけて成長した木を山から切り出す→材木市場で原木が競り落とされる→製材所でスライスされます→スライスされたものを5~10、20年かけて乾燥させます→看板用の板になりました
お客様との打ち合わせ 業態・イメージ・取付場所・サイズ・価格などを考慮してデザイン、仕様が決まります→乾燥した板を看板のサイズにさらに製材します→板に木材保護材や手垢防止剤を塗ります→原稿を板に合わせ文字を彫刻します→文字に金箔や色を付けます→木の看板の完成→現地へ搬入、取付施工
制作風景・制作道具
❶小刀を使って文字を彫っています。
❷手彫り。布袋彫り(かまぼこ彫り)という彫り方
❸欅(けやき)材に彫刻を施し胡粉で色をつけています。 年数が経つと欅の色が落ち着いてきて胡粉の白の文字が映えてきます。
❶鑿(のみ)を使って文字を彫っています。大きな文字の場合は鑿を使います
❷手彫り。
❶以前の金箔を一度きれいに剥がし取ってから、新しく金箔を押していきます。
❷現場作業にて金箔を押している所です。金箔は薄くて軽いので、風がある屋外作業は難しいです。
❸完成です リンナイ株式会社 本社銘板
木の種類・板の形・彫り方・板の在庫
木の種類 |
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欅(けやき):広葉樹。色は黄赤褐色で木目が発揮と目立ちます。堅くて重い分狂いも少なく耐久性も優れる。弊社で最も使う材質です。古くからお寺などの建築に一般化では、使われ床の間や座卓にも使われます。 和風のイメージが強く、色を付けることによって表情も変わるので、おすすめします。 |
桧(檜)(ひのき):針葉樹。淡い黄褐色から赤色で木目はそれほど目立ちません。桧特有の香があり抗菌作用があります。そのため耐久性に優れ世界最古の木造建築の法隆寺は桧で建てられています。ヒノキのお風呂などにも用いられます。 看板としては表札などによく用いられます。 |
杉(すぎ):針葉樹。淡い赤色から濃い赤褐色で木目は目立ちます。軽くて柔らかいのですが 堅い冬目と柔らかい夏目があるので、彫刻材としては難しい材料です。弊社では茶室の扁額に用います。 |
桐(きり):広葉樹。淡い白色。木目はあまり目立ちません。桐の特徴はその軽さで多くの空気を含むため桐のタンスに使われます。弊社では茶室の扁額に使います。幅の広い板は貴重なため高額になりがちです。 |
桂(かつら):広葉樹。色は褐色で木目は目立ちません。木目が詰まって精密で狂いも少ないため将棋盤などに使われます。加工性と耐久性で弊社では立体の文字に用いています。最近では貴重な木材となりつつあります。 |
楠(樟)(くす):広葉樹。黄褐色から淡い褐色。独自の香りがあり防虫効果を有する。 大きな木に育つことが多いが、枝分かれをするため板になる部分が取りづらい。 |
松(まつ):針葉樹。安価でホームセンターなどでも手に入りますがが狂いやヤニがあるため弊社ではあまり使う事はありません |
木の板の形
◎四角形の看板
板の形で多いのは四辺が直線の四角形です。
製材で腐りやすい辺材(白太)を除いて心材(赤身)の部分を使います。
イメージ的には、「しっかり」「整然」「端正」
◎自然な形の看板
天然の板の形をそのまま利用した看板です。
辺材(白太)をそのまま使うので屋外で使う場合は注意が必要です。
イメージは、いかにも天然の木を使っていることが伝わります。
柔らかい感じや野趣など感じられます。
木の看板の彫り方
手彫り
布袋(ほてい)彫り(かまぼこ彫り)
その形状から布袋様のお腹や蒲鉾に例えられています。
金箔の文字は通常この形で仕上げる事が多く、その質感が最も感じられる彫り方です。
薬研(やげん)彫り
小さな文字に使うので表札などでも使います。
浮き彫り(地彫り)
機械彫り
機械彫り
栗田看板舗では手彫りを基本としていますが、安価で多数の看板を制作する場合には機械彫りを使います。
・NC彫刻
パソコンでデータを作成して3次元の彫刻が出来るようになりました。
手彫りに比べ表現や深掘りなど制限もありますが安価で大量に同じ物を作れるメリットがあります。
・レーザー彫刻
レザー光線を板に当てて焦がすことで文字を彫ります。
10mmくらいの小さな文字でも可能です。
大きな文字や深く彫ることは適しません。
・サンドブラスト
細かな砂を看板に当てて木を削る方法です。
木の板は、柔らかい夏目と堅い冬目があり、削り方に差が出ます。
刃物で彫ったものとは違った仕上がりになります。
木の板の在庫
金箔・塗装
金箔
栗田看板舗で使う金箔は金沢の製造元から直接仕入れています。
金箔には多くの種類がありますが、金の含有量が一番多い1号色を使っています。
また、厚みに関しても通常の三倍の厚打ち三枚掛けを使い、材料には最高の物を用いて伝統工芸看板を作り続けています。
塗装
・文字の塗装
屋外の看板の文字には耐久性の高い合成樹脂塗料を使います。
屋内の扁額には日本画で使う岩絵の具の胡粉(白)緑青(緑)などを使い、質感にこだわっています。
・板の塗装
屋外の木の看板には浸透性の木材保護材を用いる場合と塗膜を作るクリア塗装の2種類に分けられます。浸透性の物はステイン系とも言い木の内部に染み込んで雨や紫外線から木を守ります。クリア塗装はその皮膜で雨の浸透を防ぎます。どちらの塗料も永久ではないのでメンテナンスが必要です。
屋内の使う看板の場合は雨や紫外線の影響はないので、見た目には変化のない汚れ防止剤を塗布します。
木の看板の価格
制作費用について
看板の制作費においては、使用する木の素材、サイズ、彫り方や彫る数、加工(例えば金箔など)により大きく料金が異なります。お問い合わせ頂く際には、使用用途や希望される加工方法のイメージ、ご予算などをお知らせ下さい。参考までに一例を掲載しておきますので、おおよその目安としてご検討ください。
H600mm×W1800mm
1800×600の木材に上記文字数を彫る場合の参考価格(送料・取付費用別途)
材質 | 加工 | 費用 | 制作期間 |
楠・栃・銀杏・杉 | 黒文字 | 30万円~ | 2~3週間 |
欅・檜 | 金箔 | 50万円~ | 4週間~ |